元自衛官の憂い The third
![]() (08/07)
(08/01)
(07/29)
(07/20)
(07/12) |
|
07272234 | [PR] |
05310709 | 陸自誤射事故の闇 |
「弘法にも筆の誤りという」
誰もの耳目に降れた言葉だと思います。弘法大師様でも時には〝失敗〟することがあるというものですが、筆を誤っても命にかかわることはありません。
陸自の誤射は合戦場に赴く武士が、竹光と真剣を取り違えようなものであってはならない事故ではなく、起き得ない事故です。
報道によると、北海道鹿追町の陸自演習場で物資輸送中に襲撃を受ける訓練中の北部方面輸送隊第310輸送中隊31名が、実包で撃ち合いけが人を出すという事故が起きました。
実包を撃ち合い「弾」が当たらなくてよかったと思わた方も少なからずいらっしゃると思います。
なぜ、空砲のはずが実包が使われることになったのかだけが注目されていますが、銃を扱った経験があれば不思議なことだらけの事故だと思っていることでしょう。
報道では「アダプター」を使用していたそうですが、「アダプター」とは、自衛隊では〝空砲発射補助具〟と呼ばれ、「ブランクアダプター」「ブランク・ファイアリング・アダプター」と呼ばれるものです。
専門的な話は割愛しますが、まず問題は空砲と実包の違いがわからなかったのかということです。見た目も違えば、重さも違います。どういう状況で使用する隊員に手渡され、銃に装填されたのか。
自衛隊はハッキリ言って、強迫神経症かのように武器弾薬にはかなりの時間をかけて二重三重、四重の点検・確認作業が繰り返されます。
それをすり抜け、隊員に渡された時点で、渡された隊員も確認します。弾倉に実包が込められたとしても、装填する際に確認が行われます。それでも、実包が空砲としてすり抜けてしまったことになります。
不思議なことはまだあります。
報道では輸送隊の掩護役7名、敵役2名の計9名で79発の実包を撃ち合ったことになります。一人当たり平均8~9発を使ったわけです。セミオートで3秒以内で撃てる数ですから、それで済ませてしまえばいいですが、自衛隊の訓練ではセミオートで撃つのはあまりしません。空砲で現実感出す演出ですから、適役の襲撃側がセミオートにしても反撃する側はセミオートにするのは考えられません。
数回の安全確認と厳しい管理をすり抜け、それでもなお実包が発射されたのです。
セミオートで発射していた可能性が低い隊員もいたはずで、もっと早い時点で実包だと気づくはずだったのではないかという疑問が浮かびます。
個人的にはアダプターがどうだったか、銃はどのような破損をしたのかなど気になるところですが、これは公表されることはないでしょう。銃の強度などを推測できるためです。
前代未聞の事故であることは間違いありません。考えなければならないのは、空砲を実包と間違えたことよりも、実包が必要な時に空砲が手渡されることも考えられます。
それに気付かず、実戦で空砲を撃ちまくって犠牲を出すことも考えられるのです。
自衛隊の武器弾薬に対する神経過敏は異常性すら感じましたが、こうまでずさん過ぎると、過敏症よりも心配になります。
事故の徹底究明も不可欠ですが、武器弾薬の管理体制から使う場までの再教育が必要なのではないでしょうか。
- +TRACKBACK URL+